白い親善大使〜ぎんじと過ごした15年

確かな絆で結ばれていた愛犬との思い出を綴ります

幸せになるんだよ

リトルマム



市役所職員との面接の場で、私は9月末での退職を希望した。考えに考えた末の決断だった。


理由は、クラブパート職員の給与では、この先息子と2人暮らして行くだけの蓄えにならない事、子ども達はかわいいが、私には小学生の集団を束ねる力がないという自信欠如。あと、自宅から職場が車で30分と微妙に遠く、まだ年少時の息子の送迎に疲弊してしまうという健康問題もあった。


いつも私にくっついて離れなかったさおりちゃんは「ねえ、先生は新しいクラブになってもいてくれるんだよね」と何度も念押しした。


たぶん何かしらの予感を抱いていたのだろう。はっきりするまでは口を濁していた私だが、新設クラブの集いの場で、保護者達へと挨拶をした。


トラブルを起こした若い職員がいなくなったばかりで、揺れ動くクラブの行く末を案じると心が痛んだ。

保護者からは、入ったばかりでこんな状況下に陥り、大変な運営困難な毎日をよくこれまで勤めてくださいましたと労いの言葉をいただいた。


振り返れば、5月の半ばにクラブが焼失し、仮の場所として小学校と隣接する市民館での託児は予想以上にやりづらく苦労することばかりあった。


公園へ連れて行き遊ばせていた時、橋の欄干にふざけて飛び乗り川に落ちた児童、友達とトラブルを起こし喧嘩に負けては泣いてばかりいた児童、左腕が生まれつき欠損というハンデを持っていても前向きに努力を重ね何でもこなす明るい児童、甘えん坊の低学年女の子達、大人のやる事にいちいち難癖をつけるおませな児童他。


一人一人が皆個性的でかわいかった。


新体制になる前日、保護者と職員、子ども達とが私のささやかな送別会を開いてくれた。


私は子ども達に向かい「みんなにお願い。必ず幸せになってね。自分が幸せなら人を幸せにする事もできるから。私はこれからも皆の幸せを祈っています。今日まで楽しかったよ。ありがとう」


いつもは騒がしく人の言葉を聞かない子もじっと私を見つめてくれた。